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Vol.2

発売当初はまったく売れなかった!?
ショウワノートの工場長が語る「ジャポニカ学習帳」の45年の歴史

小学生のころに「ジャポニカ学習帳」を使っていたという人も多いのではないでしょうか。ジャポニカ学習帳を作っているショウワノートは、富山県高岡市に本社工場をかまえる企業です。

ジャポニカ学習帳と「たびのたね」のコラボ企画を記念して、富山の本社工場に行って話を聞いてきました。工場長とともに、今年45周年を迎えるジャポニカ学習帳の歴史を振り返ってみましょう。

■創業69年の歴史を振り返る

ご対応いただくのは高岡市出身の安部工場長です。まずは工場長に、ショウワノートの創業を教えてもらいましょう。

1947(昭和22)年、前身である「昭和紙工」が創業。当時は封筒や伝票を作る会社でした。1956(昭和31)年、主力をノートの生産に切り替え、「昭和ノート」と社名を変更。現在では主に学習帳やキャラクター文具を作っています。

キャラクター文具はショウワノートの得意分野。時代劇コメディの『とんま天狗』、テレビ映画の『琴姫七変化』、テレビアニメの『巨人の星』など、さまざまなコラボノートを出してきました。

今でも、ドラえもんをはじめとする多くのキャラクター文具を発売しています(写真は高岡市内を走る路面電車「ドラえもんトラム」をモチーフにした文具)。

■まったく売れなかったジャポニカ学習帳が取った作戦は?

1969(昭和44)年ごろまでは、ジャポニカ学習帳の前身である「エリート学習帳」を発売。ただ、競合他社よりも後に学習帳を発売したショウワノートは知名度も低く、売り上げは伸び悩みます。そこで試行錯誤した結果生まれたのが、今ではショウワノートの代名詞になった「ジャポニカ学習帳」なのです。

ジャポニカ学習帳は1970(昭和45)年に発売。当時、百科事典は家にあるとステータスとされるほど高価でした。そこで、小学館の「百科辞典ジャポニカ」と提携した学習帳を作ることにしたのです。

とはいえ、ジャポニカ学習帳はすぐに売れたわけではありません。1年間、売り上げが伸び悩んだ末に決意したのがテレビCM。当時、学習帳のCMは大変珍しく、「やぶれかぶれの作戦だった」と言います。しかも予算が少なかったので、ゴールデンタイムのCM枠は取れず、お昼の時間帯に放送されました。

しかし、これが逆に功を奏したのです。CMが流れたのは「昼ドラ」の合間でした。「昼ドラ」を見ていた母親層に一気に認知度が広がったのです。

当時は好景気で、子どもの教育費にお金をかけていたこともあり、他社が30円前後のところ50円と少し高めの値段設定をしていた「ジャポニカ学習帳」は、憧れのノートとして売り上げを伸ばすことになりました。

1978年からは、昆虫写真家の山口進さんが撮り下ろす、海外のめずらしい昆虫や草花の写真を表紙に使った「世界特写シリーズ」がスタート。ジャポニカ学習帳といえば、チョウチョや花の写真を思い出す人も多いはずです。「世界中の動物や植物を子どもたちに見せてあげたい。自然を大切にしてほしい」という山口さんの思いが込められているそうです。現在も、山口さんは世界中のジャングルや秘境を旅して、ジャポニカ学習帳のための写真を撮ってきています。

■工場長がカルチャーショックを受けた「全自動製本機」

ショウワノートの本社工場には、現在18歳~65歳まで約60名の社員が働いています。地元出身の人が多いそう。ゴルフ部と野球部があり、毎年夏の恒例行事として社員とその家族が集まるバーベキューも行われるとか。

工場長から見る、光っている社員の共通点は何ですか?

安部工場長「基本はあいさつが気持ちいい人ですね。そういう人は仕事もできます。でも特に若い人に言いたいのは、ミスを恐れるのではなく、失敗してもいいからやってみることです。いいと思ってやったなら、それでいい!」

安部工場長は1972(昭和47)年にショウワノートに印刷オペレーターとして入社。2011年に工場長に就任されました。昔から現在までを振り返って、衝撃的だったことなどはありますか?

安部工場長「1981(昭和56)年に、全自動製本機が入ったときですね。複雑な工程を全部機械で一気にできてしまうので、カルチャーショックでした。今まで自分たちは何していたんだろうって……(笑)」

これまでは人の手で作っていた作業が、全自動の機械でできてしまうんですもんね。

安部工場長「それでもやはり、最終的には人の目が必要なんですよね。機械でできるのは、商品になる一歩手前まで。色味の調整や検品などのチェックは何人もの人間で行っています」

品質の高さが、ジャポニカ学習帳が長年愛されている秘密かもしれません。

親子でジャポニカ学習帳を使っているという人のためにも、さらに長く受け継がれるよう、これからもすてきなノートを期待しています!

現在、「たびのたね」ではジャポニカ学習帳の歴代の表紙がオリジナルガイドブックの表紙になるコラボ企画を実施中です。みなさんが使っていた懐かしい表紙を探してみてください。

※本ページ掲載の内容は2015年11月現在のものです。

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