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JTBパブリッシングの出版案内

浦添市の色パン専門店ippe coppeの西村剛、美奈子夫妻。自家製シロップのかき氷を提供する「喫茶ニワトリ」をお庭で営業。大きなアセロラの木の下に席が設けられ、木陰でのんびりと過ごすことができる。ふたりの笑顔のように、明るくて、楽しい場所。

素朴で、どこかやさしい雰囲気の漂う沖縄の風景。赤瓦屋根、その上に佇むシーサーも「沖縄らしい」風景のひとつ。

旅の目的はひとそれぞれ。日常を忘れて休息をとりに。いままで行ったことの無い場所、見たことの無い風景を見て刺激を受けるために。同行する家族や友人たちとの思い出に。ひとの数だけたくさんの旅の仕方があって、その時間を楽しむことができたなら、それはもちろん「正解」。だけどあなたの旅の項目に、ぜひとも加えていただきたい要素があります。それは、旅先の街を「知る」ということ。観光地をただ巡り、その土地の表層を撫でるようにするのではなくて、どういった歴史を持ち、どんな文化を育み歩んで来たのか、どんなひとが暮らしているのか。一生懸命に学ぶ必要は無いけれど、ぜひ興味を持って欲しいのです。その風景の美しさははどこからくるのか。なぜひとの心をうつのか。その場所で暮らす人びとはなぜおおらかなのか。そんなことが見えてくるはずです。そうやって旅先の街を知ることで、旅の楽しみはより深く、より充実したものになると思うのです。そして、街を知る一番の方法であり、旅を楽しくしてくれるのが「ひととの出会い」なのです。

沖縄といえばやはりうつくしい海は欠かせない。県内の至るところに設備の整ったところから自然そのままの場所まで、たくさんのビーチが存在する。お気に入りを見つけよう。

さて、沖縄と言えば、最初に思い出すのはなんでしょう? 深い青をたたえる海? 南国らしい強い陽射しを降り注ぐ大きな空? それともたくさんのひとで賑わう市場? もちろんどれも沖縄の大切な文化であり、魅力です。ぜひ沖縄に来たら、海を見てください。特に夏の強い陽射しの下では、驚くほどうつくしい青のグラデーションを見せてくれます。それはきっとあなたの心を打つでしょう。沖縄に来たらぜひ空を見上げてください。沖縄の空は広くて、色や雲のカタチがドラスティックに変化し、多彩な表情を見せてくれます。スケールの大きな入道雲の迫力。カタブイ(スコールのように突然強く降る雨)の時には雨の降っているすぐ横で、晴れの空を見ることができます。そして雨の後にはくっきりとした虹を見ることができるかもしれません。夕方には色の濃い、うつくしい夕陽が見られるでしょう。市場には南国らしい色鮮やかな食材がずらりと並べられ、ひとびとのエネルギーで満ちています。その空気に触れるだけで元気をもらえそうです。それらは、これまでに多くのひとびとを魅了してきたからこそ、「沖縄のイメージ」として定着しているのです。ぜひ体験してみてくださいね。

名護市にある「しまドーナッツ」は、古民家を改装したかわいらしい佇まい。島豆腐のおからや県産食材を使ったヘルシーな焼きドーナッツが大人気。

さて、そんなすでに定着している沖縄らしい魅力と同じように、注目して欲しいポイントがあります。それは、沖縄にはちいさいけれど、とても思いのつまったステキなお店がたくさんあるということ。カフェにパン屋さん、雑貨店など、自分の手の届く範囲で、慎ましいけれど丁寧に営まれているお店があります。外人住宅や古民家を自分たちの手で改装し、自分らしい空間を作る。もともと沖縄にはできることは自分でやろうというDIYの精神が息づいています。移住してくるひとを含め、おおらかに、自分のリズムで暮らしたいと考えるひとも多いように感じます。だからこそ、個性的で、魅力的なお店が沖縄には多いのかもしれません。ひとつひとつのお店は店主の世界観を表していて、共通点は見当たらないように思うかもしれないけど、「ちいさくて、心のこもったお店」がたくさんある、ということが、いまの「沖縄らしさ」のような気がしています。

宜野座村にある焼き菓子のお店「kino store」。周囲にはさとうきび畑、民家がぽつぽつというのどかな場所に、そっと佇んでいる。オーナーの牧野さくらさんは、いつもその大きな笑顔で迎えてくれる。

ちいさなお店を巡ったなら、ぜひお店の方とコミュニケーションを取ってみてくださいね。商品のこと、お店のこと。おすすめスポットなど、話題は何でも良いと思います。きっと、快く対応してくれるはずです。彼・彼女たちのそんな人柄に触れることで、沖縄という島が、どんな場所なのか、感じ取ることができるのではないでしょうか。気持ちにまっすぐで、おおらかなひとびと。ゆるやかにのびのびと暮らすひとびと。それを許容し、包み込むのが沖縄という島なのです。その場で暮らすひととの出会いが、その街を知ることであり、魅力を感じること。そんな気がします。そうやって旅先のことを深く知り、大切だと思えるような出会いがあってこそ、旅はより、かけがえの無いものになっていくのではないでしょうか。ひととの出会いこそ、沖縄の旅の魅力です。

PROFILE セソコマサユキ

編集者。カメラ雑誌やライフスタイル雑誌、また書籍の編集者としてキャリアを積んだ後、独立して沖縄へ移住。著書に『あたらしい沖縄旅行』(WAVE出版)がある。企画、編集、執筆、写真などを通して沖縄の魅力を独自の世界観で表現し、発信している。ファン数37万人を越える観光情報サイト「沖縄CLIP」では編集長を務める。http://masayukisesoko.com sesokojima

 
本ページ内掲載の内容は2014年10月現在のものです。

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